休暇中の御曹司と出会ったら、愛され過ぎてもう無理です。

しかし、私が自分の感情を上手く表す言葉を見つける前に、会社に向かわなければ行けない時間は迫ってきてしまう。

「古賀さん。私は会社に向かいますけれど……もう今日は仕事はしなくて良いのですよね？」

「うん、終わったからね」

私は何故か古賀さんを若干睨むようにじっと見つめる。



「じゃあ、『ちゃんと』休んで下さいね！」



私は一度ゴミ袋をその場に置き、急いで部屋に戻って一冊の本を取ってくる。

そして、そのまま古賀さんに押し付けるように渡した。



「これ、私のおすすめの本です。あまり私は読書家じゃないので古賀さんの好みの本かわかりませんが、食事が美味しそうな描写がおすすめです」



突然それだけ言い放ち、何故か最後に私は決め台詞のように「じゃあ、私はゴミ捨てに行くので！」と大きな声で言ってしまう。

一体自分が何を思っているのか、何を恥ずかしがっているのかも分からない。

私ってこんなに自分の感情を理解するのが下手だったっけ？とか思ってしまう。