【失恋同盟】
⑩ 文化祭夢
昨日の夜は、眠れなかった。
足が痛いのもあったけど、それ以上に…佐成くんのことが頭から離れなかった。
保健室での静かな時間。
ぎゅっと抱きしめられたぬくもり。
あの言葉、あの目線、全部が心に残ってる。
朝、下駄箱で靴を履き替えながら、ふと足首に目をやる。
保冷剤で冷やしてくれた後、佐成くんが湿布を貼ってくれた。
帰ってからお風呂に入って、新しいものに貼りなおしたけど――
佐成くんの感触は、まだ残ってる。
指先の温度。 貼るときの丁寧な動き。
何も言わずに、でも確かに優しかった。
「ほたる、おはよー」
後ろから、結菜の声がふわっと届いた。
その声は、昨日と変わらず優しくて、あったかくて。