【失恋同盟】
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放課後。
佐成くんに会いたかったけど、特に連絡もなかったので帰ることにした。
結菜は用事があって、走って帰ってしまった。駿は部活。
今日は、1人。
バッグを持って、 教室を出ていく佐成くんの背中を見届ける。
バイバイ、佐成くん。
誰にも気づかれないように、 小さく手を振る。
その瞬間―― 佐成くんが、振り返った。
目が合った。
手を振ってることが、ばれたかもしれない。
恥ずかしくて、顔が赤くなる。
行き場のない右手が、空中でふわふわと揺れる。
佐成くんが、私の方をじっと見て口を動かす。
“き” “て”
私だけに向けられた、口パク。
誰にも聞こえない。でも、私には届いた。