【失恋同盟】
バッグを持って、慌てて教室を出る。
「はや」
「だって…」
佐成くんが呼ぶから。
「時間ある?」
「うん…」
「いつものとこ行こう」
いつものとこ。空き教室。
ばれないように、2人で空き教室へ。
扉を閉めて、佐成くんが机にバッグを置く。
「ここ、空き教室じゃなくなるんだって」
佐成くんが、ぽつりと呟いた。
「…そうなんだ」
知らなかった。
私たちの関係は、ここから始まった。
だから、なんとなく―― 大事な部屋だったんだけどな。