【失恋同盟】
事の発端は、10分前。
一緒に帰る約束をしていた俺たち。
でも、篠原が先生に呼ばれてしまったので教室で戻ってくるのを待っていた。
天気が悪く、雪が降ってきそうだった。
早く帰ろうと思い、篠原のバッグも持って職員室へ向かった。
廊下を歩いていると、数人の女子に話しかけられた。
「佐成くん、彼女できたってほんと?」
「ん」
歩きながら一切顔を見ることもなく、適当に返事をする。
職員室が見えたところで、背中を壁に預けてしゃがみながらスマホを触る。
「ねえ、佐成くん」
うっとうしい。
顔をあげると、女子が2人。
「何見てるの?」
一人の女子が俯いた瞬間、長い髪の毛が俺の目に入った。
「いっ……」
「えっ、ごめん」
目をぎゅっと瞑る。
「ごめん、大丈夫!?」
俺の目の前にしゃがんで、俺の顔に触れようとする。