【失恋同盟】
京也side
「もうっ!佐成くんなんか知らないっ…!」
篠原と付き合って1か月経ったある日のこと。
このくそ寒い雪の中、傘も差さずに飛び出していった篠原を必死で追いかける。
「篠原!」
手を掴む。
篠原が、振り返る。
泣いてるかと思ったけど―― 涙は出ていなくて、ホッとする。
「今、安心した顔したよね?」
ムッと怒ってる顔。
…かわいい。
「しばらく口ききたくない…」
篠原は俯きながらそう言って、俺の掴んだ手を振りほどいた。
「…せめて、これは持ってってよ」
傘を篠原に渡す。風邪ひいてほしくないから。
何か言いたげな篠原の顔。
「なに?言って?」
「バカ!」
ぽかっと、胸に篠原の小さい拳が当たる。
全然痛くない。かわいい。
「ごめんね、俺が悪いね」
「そうじゃないし…」