【失恋同盟】



今までにないくらい、心臓がうるさい。爆発しそうだ。

でも、絶対今日言うって―― 何日も前から決めてた。



「結菜のこと…」



白い息が、俺と結菜の間にふわっと漂う。
結菜は何も言わずに、俺の言葉を待ってくれている。
グッと、握り拳を作って口を開く。



「結菜、好きだよ」



結菜の目が、みるみるうちに大きくなっていく。

そのあと、すぐに笑顔になって――



「私も!」



その言葉が、冬の空気を一瞬で春に変えた気がした。

白い息が、2人の間でふわっと混ざる。


それは、恋の始まりの合図だった。










end



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