【失恋同盟】



目的地に着いた。

電車を降りると、すぐに潮の香りが鼻をくすぐる。



「わー、めっちゃ海」



佐成くんはあくびしながらそう言った。

…どんな感想?って思ったけど、なんだかそれも佐成くんらしくて笑ってしまう。



「とりあえず下まで行く?」



浜辺まで歩くと、目の前に広がるキラキラした水面。

太陽の光が、波に反射してまぶしいくらい。

風が少しだけ吹いて、髪がふわりと揺れる。

足元を見ると、綺麗な貝殻がいっぱい。

白、ピンク、薄い水色。

拾い上げると、手のひらの中で小さな世界が広がる。


< 74 / 286 >

この作品をシェア

pagetop