令和恋日和。 ~触れられない距離に恋をして~
芙美は、深呼吸して気持ちを落ち着けようとした。侑の穏やかな笑顔や、温泉街で彼女を支えてくれた姿が頭に浮かぶ。彼はきっと、彼女を傷つけるつもりなんてなかったはずだ。
そのとき、スマートフォンが小さく震えた。画面には、侑の名前だった。
【ごめん。俺の言い方きつかったかも。芙美が楽しそうにしてたの、ちゃんとわかってたよ】
その一文を読んだ瞬間、芙美の胸の奥がじんわりとほぐれていった。侑の誠実さが、まるで温かな風のように、彼女の心にあった雲を吹き飛ばした。
――侑さんも、私と同じように考えてくれてたんだ。
芙美は、スマホを握りしめながら、そっと返信を打った。
【ううん、私もちょっと過剰に反応しちゃった。侑さんと一緒なら、どんな旅でも楽しいよ】
送信ボタンを押すと、胸に温かな安心感が広がった。