令和恋日和。 ~触れられない距離に恋をして~
「芙美が楽しそうにしてるの、よくわかるわ。よく、笑うようになった……侑さんがそばにいてくれるのね」
「そう、かな……そうなら、侑さんの、おかげ」
そう言って芙美は侑を見る。侑は少し照れながら答えた。
「私も芙美さんのおかげでとても楽しく、癒されています。大切にしたいと心から思います」
その真っ直ぐな言葉に、芙美の胸がじんわりと温かくなった。母の笑顔や、父の静かな頷きが、まるで侑を受け入れる証のようだった。彼女は、家族と侑が同じ空間にいる姿を眺めながら、胸の奥に新しい安心感が芽生えるのを感じた。
こんな風に、侑さんが私の家族と話してるなんて。夢みたい……喜んでもらえて良かった。
「芙美、あなたの部屋そのままにしてあるの。何か捨ててもいい要らないものあれば避けておいてくれる?」
「え、うん。でもどうして」
「私もお父さんも、テレビの影響で終活始めたのよ〜。だからついでにと思って」
そう言われ、侑さんにも「行って来ていいよ」と言われてしまい芙美は部屋へ向かった。
芙美が出て行き、芙美の母はお茶を飲んでからフゥと息を吐く。
「今日は来てくれてありがとうね、侑さん」
「いえ。お会いできて良かったです」
侑は静かにそう呟いた。
「本当に良かった。芙美は言わないだろうけど……あの子、数年前に、婚約を破棄されてね。それから恋愛をするのも避けてるみたいだったから。あなたみたいな優しくて誠実な人と出会えてとても嬉しくて」
芙美の母は続けて「これからも、よろしくお願いします」と言い、頭を下げた。
「こちらこそ、よろしくお願いします」