愚図な妖狐は嗜虐癖な陰陽師に甘く抱かれる ~巡り捲りし戀華の暦~
「……私も初めは疑いました。こんなことを言っている私を洗脳されていると思われても仕方ないと思います。ですが、これには私の急激な体調不良が大きく関係しています……それは、私が龍志様の子を宿したからです」
ぽつりと季音が事実を告げた瞬間、龍志は切れ長の瞳を限界まで開き、硬直してしまった。
「先程言った魂の宿る庭で、私……龍志様にそっくりな色彩を持つ稚児に会って知りました。男の子です。自分でも信じ難いですが、確かにここにいます」
季音はまだ膨らまない腹を摩り、微笑んだ。
それを聞いていた蘢も朧も硬直していた。だが、タキだけは目を細め、龍志をじっと睨んでいた。
「それは……まことか?」
幾拍か置いて、龍志はようやく言葉を発した。驚きが丹精な顔に貼りついたままだった。
季音はただ黙って頷く。
「まことか?」
復唱する彼に、季音は頷いた後、緩やかに唇を開いた。
「はい、まことです。藤夜様も言った言葉ですが、奇跡としか言いようありません……私は今、この身体に三つの魂を宿しています。この三つ目の魂が、育ち始めた途端に大きな負荷となり、藤夜様の力だけでは生命活動に支障を来すほど健常を保てなくなりました。その結果、藤夜様が龍志様の精気を奪ったそうです」
この奇跡により、藤夜の恨みはどうでも良くなったと――だが、命日となる日に取り憑いたことが大問題だった。
藤夜が抜ければ、身体は持たないと。季音は藤夜の話したこと全てを龍志に告げた。
果たして、それを信じてくれるか……依頼を受けてくれるか、不安だった。間違いなく、前代未聞の依頼だろう。
だが、瞬く間にふわりと包まれる感触に、季音は目を瞠る。
抱き寄せられた――その瞬間、深い安堵が胸を満たし、自然と涙が滲む。そう、これだけで彼は信じてくれると、そう分かったから。
「……承知した。だが、俺の意思を少し聞いてくれるか?」
「はい、何なりと……」
大丈夫だと分かっていても、僅かな不安が残った。
季音は顔を上げ、龍志を見上げた。彼は季音の肩を両手を置いて、毅然と向き合う。
「夫である俺の思い……そして父としての思いは、お前を必ず生かしたい。この子を必ず産んでもらいたいと。だが、依頼にはお代が必須だ」
「お代?」
ぽつりと季音が事実を告げた瞬間、龍志は切れ長の瞳を限界まで開き、硬直してしまった。
「先程言った魂の宿る庭で、私……龍志様にそっくりな色彩を持つ稚児に会って知りました。男の子です。自分でも信じ難いですが、確かにここにいます」
季音はまだ膨らまない腹を摩り、微笑んだ。
それを聞いていた蘢も朧も硬直していた。だが、タキだけは目を細め、龍志をじっと睨んでいた。
「それは……まことか?」
幾拍か置いて、龍志はようやく言葉を発した。驚きが丹精な顔に貼りついたままだった。
季音はただ黙って頷く。
「まことか?」
復唱する彼に、季音は頷いた後、緩やかに唇を開いた。
「はい、まことです。藤夜様も言った言葉ですが、奇跡としか言いようありません……私は今、この身体に三つの魂を宿しています。この三つ目の魂が、育ち始めた途端に大きな負荷となり、藤夜様の力だけでは生命活動に支障を来すほど健常を保てなくなりました。その結果、藤夜様が龍志様の精気を奪ったそうです」
この奇跡により、藤夜の恨みはどうでも良くなったと――だが、命日となる日に取り憑いたことが大問題だった。
藤夜が抜ければ、身体は持たないと。季音は藤夜の話したこと全てを龍志に告げた。
果たして、それを信じてくれるか……依頼を受けてくれるか、不安だった。間違いなく、前代未聞の依頼だろう。
だが、瞬く間にふわりと包まれる感触に、季音は目を瞠る。
抱き寄せられた――その瞬間、深い安堵が胸を満たし、自然と涙が滲む。そう、これだけで彼は信じてくれると、そう分かったから。
「……承知した。だが、俺の意思を少し聞いてくれるか?」
「はい、何なりと……」
大丈夫だと分かっていても、僅かな不安が残った。
季音は顔を上げ、龍志を見上げた。彼は季音の肩を両手を置いて、毅然と向き合う。
「夫である俺の思い……そして父としての思いは、お前を必ず生かしたい。この子を必ず産んでもらいたいと。だが、依頼にはお代が必須だ」
「お代?」