愚図な妖狐は嗜虐癖な陰陽師に甘く抱かれる ~巡り捲りし戀華の暦~
 龍志の声に、季音は静かに頷く。その言葉は、荒涼とした景色に響き、星明かりの下で優しく溶けていった。

「はい、龍志様」

 そう応えると、彼は柔らかく笑みを浮かべ、季音の手を優しく取り、ゆっくりと立ち上がらせた。
 その指先の温かさは、夜風の冷たさを忘れさせるほど。季音の心を温かく包んだ。


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