甘く苦く君を思う
渚と約束をし、彼は立ち上がると私をまっすぐに見つめてきた。
「沙夜、俺は何度だって力になる。もう信用を失いたくない」
その言葉に私は心臓を掴まれたように息をのんだ。期待してはいけない、3年前の痛みを忘れてはいけないと自分に言い聞かせながらも彼の視線から目を逸らせなかった。
彼がアパートから帰ってからも心臓の鼓動が収まらない。そして渚の無邪気な笑顔が脳裏に焼き付いていた。
渚を寝かしつけたあと、私はひとりキッチンに座っていた。寝り返った部屋に冷蔵庫の低い唸りだけが響いている。
渚が彼の小指に絡め「約束」をしていた時のふたりの表情が目の奥に焼き付いている。まるで父と娘のように自然で、胸の奥がどうしようもなく熱くなった。
あの日、彼に信じてもらえなかった痛みは忘れられない。でも今日彼に言われた言葉も胸に刻まれていた。
全て終わっていたはずなのにどうして今さら心が揺すぶられるのだろう。
私は両手で顔を覆った。
(渚を守らなきゃ……)
渚だけは何者からも傷つけさせたりはしない。
これだけは自分自身に言い聞かせる呪文のように何度も繰り返す。
けれど胸の奥に芽生えてしまった温かさを完全に消し去ることはできなかった。
「沙夜、俺は何度だって力になる。もう信用を失いたくない」
その言葉に私は心臓を掴まれたように息をのんだ。期待してはいけない、3年前の痛みを忘れてはいけないと自分に言い聞かせながらも彼の視線から目を逸らせなかった。
彼がアパートから帰ってからも心臓の鼓動が収まらない。そして渚の無邪気な笑顔が脳裏に焼き付いていた。
渚を寝かしつけたあと、私はひとりキッチンに座っていた。寝り返った部屋に冷蔵庫の低い唸りだけが響いている。
渚が彼の小指に絡め「約束」をしていた時のふたりの表情が目の奥に焼き付いている。まるで父と娘のように自然で、胸の奥がどうしようもなく熱くなった。
あの日、彼に信じてもらえなかった痛みは忘れられない。でも今日彼に言われた言葉も胸に刻まれていた。
全て終わっていたはずなのにどうして今さら心が揺すぶられるのだろう。
私は両手で顔を覆った。
(渚を守らなきゃ……)
渚だけは何者からも傷つけさせたりはしない。
これだけは自分自身に言い聞かせる呪文のように何度も繰り返す。
けれど胸の奥に芽生えてしまった温かさを完全に消し去ることはできなかった。