英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 開かれた扉から中の様子をひと目見て、言葉を失った。
 天井まで大きく窓を取り、明かりを間接照明に抑えた空間は幻想的で、ラグジュアリーな雰囲気が漂っている。窓際にはクロスを張った円卓がひとつと、椅子が二脚。卓上には二人分のグラスとカトラリーがセットされていた。

 美しい夜空を鑑賞しながら食事を楽しむ、そんなテーマを全力で応援するかのように、今夜の空は澄み渡り、満天の星々が煌めいている。

 窓辺に寄り、夢中になって空を眺めていると、うしろで扉が開く音がした。
 入ってきたのは、ルシウス様だ。ディナーに合わせて正装した姿がとてもよく似合っていて、うっとりするほどの気品が漂っている。

「待たせたか」
「いえ。ありがとうございます」
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