英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 この流れに身を任せてしまえたら、どれほど得意な気持ちになれるだろう。
 けれど、優しくされればされるほど、自分本位にはなれない。わたしが原因で、彼の立場に禍根を残すような真似はしたくない。

 食事が始まるはずだったテーブルに目をやれば、キャンドルの火が揺らめいている。
 後ろ髪を引かれる思いだったが、ひとつ大きく息を吸い、申し出た。

「わたしなら結構です。どうぞ素敵な時間をお過ごしください。夫には、また時間を取ってもらえばいいのですから」

 最後の一言は、夫婦の間に割り込もうとするお邪魔虫へのほんの意趣返しだ。
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