英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 ロキ君とヒルダさんもサポートでついて行き、親しい人の姿が揃って見えなくなる。寂しさと心配事が重なり、気を紛らわそうとしても、なにひとつ手につかない。

 ルシウス様がいない間は、客人を交えた食事会は開かれないため、幸いにもイレーヌ姫とは顔を合わせずに済んでいる。

 おかげで平穏無事ではあったが、いずこかで危険な戦いに身を投じている彼を思うと安心などはしていられず、暇さえあれば窓から外を眺めて、遠くに馬の影でも見えてこないかと気を揉みながら過ごした。

 妙に長く苦しくも感じた待つことしかできない時間は、実際には三日で終わりを告げた。
 夜更けに馬のいななきが聞こえた気がして目を覚まし、厩舎に確認に行くと、もぬけの殻だったそこに、彼の愛馬の姿がある。

 ルシウス様が任務から帰ってきたのだと知り、深い安堵の吐息が漏れた。夜間の到着となってしまい、周りを騒がせないよう静かに部屋に引き上げたのだろう。
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