英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「っ……! どこかお怪我をされたのですか!?」

 頭が真っ白になったわたしは、お盆を脇のチェストの上に置き、ルシウス様に近づいた。すると彼は急に焦った表情を浮かべ、手の平を前に向けて一歩、二歩とうしろに下がっていってしまう。

「大丈夫だ。これは魔獣の返り血だ。あとは傷を負った仲間を救護したときについたもので……」

 それを聞き、恐るおそる彼の体に傷がないことを目で確認してから、ホッと胸を撫でおろした。

「そうでしたか……。よかった……」
「……心配してくれたのだな。ありがとう」

 どこか切ない、喜びの滲むような声を聞いて、思わず彼の顔へと視線が引き寄せられる。
 優しい光を帯びた青い瞳が、まっすぐにわたしを見つめていた。
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