英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 ふたりが相談している間、自分の分はどうするかを思い悩んだ。
 服ならクローゼットルームに溢れるほどあるが、ほとんど奇抜で上品とはいえない。だが歓迎の場で、いつものように間に合わせの格好をするわけにはいかないだろう。

(お金を使うのは気が進まないけど、頼まないわけにもいかないわね)

 イレーヌ姫とメイド長の話は長引きそうだったので、「ごめんなさい」とこちらから声をかけた。後回しでいいので、自分にも仕立屋との相談の場を設けてほしいと告げると、メイド長はあからさまに嫌な顔をした。

「あれほど贅沢なドレスばかりを買い集めておきながら、まだ必要と申されるのですか。奥様はこちらに来られて三日の間に半年分の予算を超える支度費を使い果たしたのですよ」

 そう来るだろうと思っていたが、案の定だ。もともとわたしに対して良い印象を抱いていないメイド長は、協力してくれるつもりはないらしい。
 ここは冷静に、頭を使いながら答えた。
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