英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 ひと息を入れた彼が、尋ねてくる。

「ほかに触られたところは?」
「あ……服を脱がされそうになって」

 自分の胸元に目をやると、装飾のレースは破れ、襟口は伸びきって悲惨なことになっている。みっともないと思い、慌てて襟元を合わせた。

 ルシウス様はなにを思ったか眉間の皺を深くすると、瞳に剣呑な光を浮かべて囁いた。

「消毒の続きをしても?」

 予期せぬ言葉に、ごくりと喉が鳴る。彼になら別になにをされても構わないが――しかし、どうしてそこまでしてくれるのか理解できない。

 半分流される形で頷きを返すと、より低く頭を下げた彼が、わたしの襟元に口づけを落とした。ちゅっと鎖骨のあたりを吸われて、またも体が勝手に震えてしまう。

「君の肌は、とても滑らかだ。すごく……いい匂いがする」
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