英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 脅威は去ったと思っていいのかもしれないが、スッキリはしない。けれどもルシウス様から任された進行中のミッションを思えば、いつまでも過ぎたことにかかずらってはいられなかった。義母のグレイス様の来訪日は、もう間近に迫っているのだ。

 頭を切り替え、準備に本腰を入れる。まずは気になっていた自分の衣装周りの問題について、屋敷に呼んだ仕立屋と相談し、好みに合わせて直してもらうよう算段をつけた。
 それから当日のスケジュールを固めて、人員の配置を整える。滞在中に使ってもらうゲストルームの選定、館内の装飾、晩餐会のメニューは調理長のジョニーさんとやりとりを重ねて詰めていく。

 ルシウス様はわたしの自主性を重んじながらも、いつでも相談できる態勢をとってくれていた。皆の協力のおかげで、初のイベントの切り盛りは無事にこなせそうだ。
 なんとなく物事が順調に回り出したような、なによりこの館に来て初めて自分の存在が認められた気がして、心は完全に浮き立っていた。
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