英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 そうして細部を見直しながら時を過ごし、いよいよ迎えた約束の日。

 太陽が空に高く昇る頃、ルシウス様と使用人の面々と一緒に、館の前に横並びに立って待った。すると、林の向こうから伸びやかな角笛の音が聞こえてくる。馬車が近づいたことを知らせる合図だ。

 門の向こうを見つめていると、森の影から立派な馬車が姿を現す。速度を緩めた馬車は、ぐるりとロータリーを回り、エントランスポーチの前で停車した。

 その馬車にグレイス様が乗っているのは間違いないのだが、ほかにもうひとつ、目を引く存在があった。馬車に随伴して現れた、単騎の騎士である。

 馬に跨っているのは、ルシウス様と同年代くらいの男性だ。大きな体に筋骨隆々としたタフガイという印象で、髪と瞳は落ち着きのあるブラウン。士官のような服にマントを羽織っているが、どこか品を感じさせる顔立ちをしている。
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