英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 緊張を走らせたわたしの横で、ルシウス様が淡々と事実を述べた。

「姫ならば、すでに公国へ引き渡しました。それにしても、匿ったというのは語弊がありますね。護送任務を承った際に経路に不具合が生じ、対応の間、当館に滞在いただいたというだけのこと。本件は逐次、王宮に報告も上げています」

「それじゃあ、なにごともなかったのね? ……はぁ、珍しく火遊びをしているのかと思えば、心臓に悪い……」

 グレイス様は深いため息をついた。安堵ともとれる表情を浮かべているが、姫に会いたいというわけではなかったのだろうか。
 疑問の答えは、リアム殿下の口からもたらされた。

「実はな、王都では今、おまえたち夫婦は噂の的になっているんだ。橋が壊れたというのは建前で、妻に不満を持つおまえが後宮下がりの姫と恋に落ち、囲ったのではないかと」

(えっ……? なにそれ)
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