英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 一方、清楚に道脇に控えて待つ使用人のふたりは、イギリス文学にでも出てきそうなお揃いのメイド服を着て素敵な雰囲気を漂わせている。そんな彼女らにわたしも会釈をしようとしたのだが、どうしてかこちらの姿を見たとたん、怯えたような表情でギクシャクとお辞儀をし、逃げるように立ち去ってしまった。

「え? あ、ちょっと……」
「おい! 早く来いって。置いてくぞ」

 痺れを切らした少年が、上階から荒っぽい口調で急かしてくる。

(わたしが変な格好をしているせいかしら? まるで恐ろしいものを見たかのような顔をされたけど……)

 釈然としない気持ちになりながらも、宮殿のように広い邸宅の中を急ぎ足で進んでいき、ようやく目的の部屋にたどり着いたときには息が上がっていた。

 扉を開けて待っている少年に促され、明るい部屋に足を踏み入れる。

「わぁ……! すごく立派なお部屋」
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