英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 わたしとルシウス様の結婚を、父だけでなく王太子も支持していたというのは初耳だ。
 それにしても、初めて他人から父のことに触れられて、ふと響くものがあった。

 考えてみれば、わたしにもこの世界での父が存在しているのだ。会ったことはないが、どんな人物なのだろう。

 もしかしたら式典の日に、王宮で会えるかもしれない。離婚すれば実家に戻ることになるだろうから、どんな人物か情報を集めておかなければ。

 上の空になりながら相槌を打っていると、話は思わぬ方向へと流れた。

「ルシウスには幸せになってほしいと思っていた。だが君のように美しい女性が不当な評価で貶められているのは許せない。僕は俄然、君の味方だ。僕こそが君を幸せにしたい」
「……はい?」

 思わず声が裏返った。
 うっとりと見つめてくる瞳に悪意めいたものは感じられないが、そんな話をするなら、これ以上ふたりきりでいるべきではない。
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