英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「俺は、君と別れるつもりはない。君を放したくないんだ」

(え……?)

 言葉を受け止めるのに、数秒を要した。予想とは真逆のことを言われた気がするが、どういうことだろう。悲報を拒絶するあまり、幻聴でも引き起こしたのだろうか。

 怖々と視線を上げると、愁いを帯びた青い瞳とぶつかった。

「俺は……自分の意志とはかかわりなく俺の妻となった君を、解放してやるべきだと思っていた。君も離婚を望んでいたし、それこそが君のためになるのだろうと。しかし――」

 なにを言っているのだろう。わたしが離婚を望んでいた? たしかに言い出したのは「アレクシア」だけど――ダメだ、混乱して思考がまとまらない。

「勝手なことだが、俺は君と過ごす日々に、安らぎと運命を感じてしまった。今さら君を失うことなど、耐えられない。だから……」
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