英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「王太子ではないか。式に遅れてきたと思えば、私兵まで連れてくるとは、いったいなにごとだ?」

 王が眉をひそめて、小言を漏らす。乱入してきたのが王太子と聞いて、会場の警備に立つ王国兵士らが対応できずにいるわけを理解した。

(あの人が、ルシウス様をライバル視しているという王太子ね……)

 事前に学んだ知識を掘り返しながら、話題の人物を見定めようと目をやった。
 名はアーサー・ディ・アルテナ。王と王妃との間に生まれた第一王子で、少し前に我が北領の屋敷を訪れたリアム第二王子の腹違いの兄だ。

 王太子の顔立ちは母親の王妃に似ているが、鋭い目つきと曲げた口元が性格を表しているようで印象はよくない。その薄い唇が開き、どこか棘のある声が飛び出した。
< 310 / 398 >

この作品をシェア

pagetop