英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 おずおずと中に進むと、待ち受けていたのは想像よりもはるかに厳めしい雰囲気と、無数の針のように肌を刺す視線。
 高い天井の下、すり鉢状に設けられた議席に十数名の貴族議員が着席しており、また後方の手すり際には傍聴に訪れた聴衆がびっしりと詰めかけているのがわかる。

 迫力を受け止めきれずに立ち竦んでいると、「アレクシア!」と切羽詰まった声が聞こえてハッとした。
 慌てて目を向ければ、前から何列目かにある席で立ち上がったルシウス様が、身を乗り出してこちらを見つめている。

「ルシウス様……!」

 顔を見れた嬉しさに目の前が明るくなった。しかし彼の悲愴な表情を見たとたん、悲観的な気持ちに襲われる。

 今のわたしは、どれほどみすぼらしく見えることか。父に叩かれた頬も腫れているし、せっかくのドレスも皺だらけだ。こんな情けない姿を晒すことになるなんて、恥ずかしくていっそ消えてしまいたい。
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