英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「ル、ルシウス様……あっ」

 ばっと振り向いたルシウス様が片腕を伸ばし、わたしの体を抱き寄せる。

 気づけばわたしの口元には、彼の唇が重ねられていた。

 押しつけるような荒々しいキス。強張った接触面から心地よい体温が伝わってきて、わけがわからないまま歓喜の情に流されてしまう。

 やがて熱が離れたのを感じてぼうっとしたまま見上げると、強い視線とともに真剣な声が降ってきた。

「ひとりで抱え込もうとするな。俺は君を守るためなら、すべてを捨てても構わない」

 彼は、わたしが勝手な行動に出たことを怒っている。そして傷ついているのだ。

 彼の気持ちが痛いほど身に染みて、素直な思いが涙となって溢れ出てきた。
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