英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「ごめんなさい、ルシウス様……」
「わかればいい。――皆の前ではっきりさせておこう」

 改めての抱擁のあと、ふたりで議会場の広いほうへと向き直った。

「俺たちは愛し合っている。他国の姫が入り込む隙などない……!」

 彼が叩きつけるように示した宣言は、曇りなくまっすぐで、尊く響いた。王をはじめとする貴族たち、そして公国の使者も、唖然とし言葉をなくしている。

 いつか公の場で惚気ていたと呆れられても、この場にいる人々の心に残るものがあればいい。
 そう願いたたずんでいると、視界の端にうずくまっていた悪意の塊が、不快な大声を上げながら起き上がり、雰囲気をどん底に突き落とした。

「おのれルシウス……王太子である私に剣を向けたな! 王族に対する反逆だ。兵よ、こいつを捕らえろ!」
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