義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

 けれど――
 次に放たれた兄のひとことで、その気持ちは一瞬で吹き飛んだ。

「流斗と、うまくいってるんだな。
 俺、おまえの彼氏が流斗でよかったって思ってる。
 あいつの前にいるときの唯は……なんかすごく幸せそうでさ。
 俺、応援するから」

 ……は?

 え? えええ!!
 ちょっと待って、なにそれ。

 この前言ってたことと、全然違うじゃん。
 流斗さんと一緒にいる私を見るのは辛いとか、
 私のこと、好きだとか、
 誰にも渡したくないって……言ってたよね?

 あれ、夢だったの?

 唖然として、言葉が出てこない。

 兄はそれっきり何も言わず、黙り込んでしまった。
 私の方を見ようともしない。

 二人のあいだに、じわじわと重たい空気が広がっていく。

 私はただ戸惑いながら、兄の横顔を見つめるしかなかった。

 ……こんなはずじゃなかった。
 こんな展開、予想できるわけない。

 だって、今日はいい感じだったじゃない。
 お兄ちゃんとの距離が縮まった気がして、嬉しくて。

 まさかの急展開に、気持ちが一気にずーんと沈んでいく。

 そんな私の気持ちとは裏腹に、車内の前方では両親が明るい声で談笑していた。


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