義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

「ずるいよ……咲夜は。
 そうやって、自分が傷つかないための予防線ばかり張って。
 だから、僕はそんなおまえに腹が立って、唯さんを君から奪おうとしたんだ。
 でも――やっぱり無理だった」

 流斗は、怒っているような、泣いているような……複雑な顔で笑った。

「いい加減、自分を守るのはやめろよ! 唯さんと向き合え!
 でないと、本当に手遅れになるぞ!」

 その叫びが、真っ直ぐに胸へ突き刺さる。

 そうだ、俺……ずっと唯から逃げてた。

 唯のためじゃない。自分のためだ。
 傷つきたくないから。

 唯に拒絶されるのが怖くて。
 だから、逃げたんだ。

 でも、それで唯を失ったとしたら?
 それでいいのか?

 ……嫌だ。絶対に嫌だ。

 俺は唯が好きだ。
 あいつを、失いたくない。

 決意を込めて、流斗をまっすぐ見つめ返した。

「流斗……ありがとう。俺、唯に想いを伝えるよ」

 その言葉に、流斗の口元がかすかにゆるむ。

「ふっ、本当に世話が焼けるんだから。
 でも、もしまた唯さんを傷つけるようなことがあれば、遠慮しないよ。
 今度こそ僕が唯さんを奪いにいくから。
 だから、そんなこと……させないでくれ」

 瞳には、ほんのりと涙が滲んでいた。

 その想いに応えるように、俺は強く頷いた。

「もうすぐ、クリスマスだろ? ちょうどいいんじゃないか?」

 流斗の言葉に背中を押されるように、心が決まった。

 ――クリスマスに、唯に伝えよう。

 もう逃げたりしない。
 自分の気持ちを、まっすぐに――伝えるんだ。



< 249 / 296 >

この作品をシェア

pagetop