義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

 放課後。
 席を立って顔を上げると、教室の入り口に兄の姿が見えた。

「唯、帰ろうぜ」

 入り口のドアに片手をかけ、軽く私に手を振る兄。
 教室がざわめきはじめた。

「え、あれって咲夜さん……?」
「今日もイケメン……」

 ちらちらと注がれる視線の中、私は兄のもとへ駆けていく。

「どうしたの? 教室まで来るなんて珍しいじゃん」

 最近は教室まで迎えに来ることなんてほとんどなかったから、周囲がざわつくのも無理はない。
 もともと目立つ人だし、なおさらだ。

 私がじっと見つめると、兄は照れくさそうに笑った。

「どうしても唯のこと捕まえたくてさ。
 ちょっと寄りたいとこがある。一緒に来てくれ」

 有無を言わせない雰囲気に、私は少し戸惑いながらも、小さく頷いた。



 ――そして、連れてこられたのは商店街の大通り。

 アーチ状のイルミネーションがきらめく中、通りの中央には、毎年恒例の大きなクリスマスツリーが飾られていた。

 キラキラと輝く電飾、赤いリボン、金色のボール、雪の結晶型の飾り。
 そのすべてがツリーを華やかに彩っている。

 てっぺんの金色の星が、薄暮の空を背にきらりと光っていた。

 昔から、兄と一緒にこのツリーを見に来るのが恒例になっている。

「綺麗だね」

「……ああ」

 並んでツリーを見上げた。
 周りでは子どもたちのはしゃぐ声が響き、大人たちも足を止める。

「――唯」

「ん?」

 何気なく顔を向けた瞬間、息が詰まった。

 兄のまっすぐな瞳に射抜かれ、視線を逸らせない。
 言葉もなく、ただ見つめ合う。

 すると――空から白い小さなものがふわりと舞い降りてきた。

 雪だ。

 思わず手を差し出すと、掌にひとひらが落ちた。

「ホワイトクリスマス……」

 つい、頬がゆるんだ。

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