義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

 その瞬間。

 兄の動きが、ピタリと止まった。
 目をまん丸に見開いて、私を見つめている。

 この反応、もしかして――。

「唯……いや、優」

 その一言で、すべてを悟った。

「はは……」

 やっぱり、変身してしまった。
 なんでこんなときに……。私は小さく肩を落とした。

 次の瞬間。
 頬に、やわらかな感触がふれる。

「っ!」

 驚いて顔を上げると、兄がにやりと笑った。
 子どもみたいな無邪気な表情に、思わずクスッと笑ってしまう。

 ――ほっぺに、ちゅー。されちゃった。
 まるで夢みたい。

 ……ふと我に返る。
 慌てて周囲を見回した。

 変身、誰かに見られてなかったよね――。

 通行人たちは特にこちらに目を向けることもなく、普通に通り過ぎていく。
 どうやら、大丈夫だったらしい。

 胸をなでおろし、小さく息を吐いた。

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