義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

「自分で試せばよかっただろ?」

 突然、兄がぶっきらぼうに口を開いた。

 私は「そうよ」と心の中で同意しながら、うんうんと頷く。

 男は肩をすくめ、かぶりを振った。

「僕で試して、僕に何かあったらどうする? もし記憶がなくなったりしたら……この素晴らしい薬が、永遠に失われてしまうかもしれないんだよ? それだけは避けたかった」

 その言葉を聞いて、ふと疑問が浮かぶ。

 ……え、それって。
 私なら、何かあってもよかったってこと?

 視線に込めた疑念を察したのか、男があわてて付け加えた。

「いやいや、そんな危険なものじゃない。命に関わることはないって確認してあったし……ラットに飲ませたときも大丈夫だった」

 ネ、ネズミ!?
 嘘でしょ、私はネズミと同じってこと? 信じられない……。

 口をあんぐりと開け、ただ絶句するしかなかった。

 そんな私の反応をよそに、男は楽しげに語り続ける。

「ほんの短い時間だったけど、ラットは性別が逆転したんだよ。その瞬間、僕は震えた。『……俺は、天才だ!』って」

 男は目を輝かせ、両腕で自分を抱きしめるように小刻みに体を震わせていた。
 まるでその瞬間の感動を何度もなぞるみたいに、恍惚とした顔で。

 完全に自分に酔いしれている。

 ……なんなの、この男。

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