義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

 先ほどから黙って話を聞いていた兄が、とうとう口を開いた。

「クレープ屋に変装して、ターゲットを絞ってたってのか?
 なんて卑怯な奴なんだ。それで、どうして唯にしたんだよ!」

「そ、そうよ。なんで私だったの?」

 私もすかさず問いかける。

 すると男は、少し顔を赤らめ、もじもじしながら答えた。

「だって、君……タイプだったんだもん」

『は?』

 私と兄の声がハモった。

「君みたいに可愛い子が、男の子になったらそれはそれで可愛いかなって思って。
 それで、君のクレープのイチゴに薬を仕込んだんだ」

 開いた口が塞がらない。

 な、なんじゃそりゃー!?

 そんな理由で、私は実験台にされたっていうの?

 ネズミには平気だったかもしれないけど、人間だったらどうなるかわからないんでしょ?
 命に関わることだってあったかもしれないのに……!

 そんな正体不明の薬を人に飲ませるなんて――

 言語道断!
 信じられない、許さないっ。
 人としても、化学者としても、失格よ。

 怒りが全身を駆け抜け、こぶしをぎゅっと握りしめた。

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