義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます
どきどき三角関係


 気が重い朝が、容赦なくやってきた。
 流斗さんのことを、兄に伝えないまま迎えた朝。

 ほんと、こういうところ、我ながら優柔不断で嫌になる。
 流斗さんにも、なんとなく流されてしまってる気がするし、兄にも言えないまま。
 なにやってるんだろう、私。

 ふぅっとため息をつき、鏡に映った自分を見つめた。
 夜中に発作が起きて、私は唯に戻っていた。

 そのことだけは、正直ほっとしている。
 今日は唯の姿で登校できそう――そう思いながら、制服のリボンを整えた。

 だけど、不安は消えてくれない。
 昨日のことがずっと頭から離れなくて、流斗さんの顔を思い出すたびに、胸がざわざわする。



 重い足取りで、家を出る。

 隣を歩く兄に、そっと視線を向けた。

 流斗さんのこと……早く言ったほうがいいよね。
 どうせ、バレるんだから。

 そう思うがなかなか言い出せず、気づけばもうすぐ流斗さんとの合流地点。

 私は焦りのせいか、歩幅が妙にバラついたり、リボンを直すふりをしては何度も胸元をいじったり――おかしな動作を繰り返す。
 それを不審に思ったのか、兄が顔を覗き込んできた。

「どうしたんだ? 唯、昨日から変じゃね?」

 兄の顔が急に近づいてきて、驚いた私は思わず一歩後ずさった。

「おっと、危ないですよ」

 背中から、ふわりと誰かに抱きすくめられた。

 そっと私を支えてくれたのは、流斗さんだった。
 ――悩ませている、まさにその人。

 いつもの爽やかな笑顔を浮かべているけれど、
 その瞳がどこか違って見えるのは……きっと、昨日の出来事のせいだ。

「咲夜、おはよう」

 流斗さんは、ごく自然な様子で兄に挨拶する。
 その手は、まだ私の肩にそっと添えられたままだった。

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