義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます
兄は、一瞬だけ私たちの距離に目を見張った。
気のせいか、目の奥にわずかな戸惑いがにじんだ気がする。
「おう、おはよう」
何も変わらない、いつもの朝。
……だったはずなのに。
「あ、そうそう。唯さんと僕、お付き合いすることになったから」
流斗さんの一言で、その平和は粉々に砕け散った。
私も兄も同時にフリーズする。
「……は?」
「……っ」
動きを止めた兄の様子を、私はそっと横目で窺った。
「はあーーーっ!!」
兄が突然、大声をあげる。
「どういうことだよ!? 流斗、おまえ今なんて言った?」
兄は流斗さんに詰め寄り、その勢いで胸ぐらを掴んだ。
動揺を隠せない目が、まっすぐに流斗さんを射抜いている。
それでも、流斗さんは相変わらず涼しい顔のままだった。
「え? だから、僕と唯さん、付き合うことにしたって」
「は!? なんでだよ! なんでいきなりそんなことにっ」
兄がさらに詰め寄り、二人の顔がくっつきそうになる。
「まあまあ、落ち着いて。説明するから」
流斗さんは兄の肩を優しくぽんぽんと叩く。
兄も少し冷静さを取り戻したのか、わずかに距離を取った。