義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます
「で、どういうことだ」
兄は流斗さんを睨みつけたあと、私に視線を移した。
じっと見つめてくる瞳。
気まずくなり、私は受け止めきれずに視線を逸らしてしまう。
すると、私を庇うように流斗さんが兄と私の間に立った。
「僕が説明するよ。
昨日、屋上にいたとき、咲夜の彼女がやってきただろ。加奈さんだっけ?
あのあと、唯さんがその彼女のことをすごく気にしていてね。
もしかして、唯さんも彼氏が欲しいのかなと思って、僕からお誘いしたんだ」
「はあ? なんでそうなるんだよ」
兄は納得できない様子で睨みつける。
しかし、それに動じることなく流斗さんは平然と続けた。
「ほら、僕は唯さんの変身のことも理解してるし、咲夜の親友だし。
知らない男より安心できるでしょ?
もちろん、僕も唯さんのことは前からいいなと思ってたし。
だからこの際、一度お試しで付き合ってみてはどうかなって」
兄は口を半開きにしたまま、動揺の色を隠せずにいる。
私も心の中で、ひどく驚いていた。
流斗さんが――前から私のことをいいと思っていたなんて、まったく知らなかった。
なんだか顔が熱い。
嬉しいような、恥ずかしいような……信じられない。
おそるおそる流斗さんに視線を向けると、彼は変わらぬ優しい笑みを返してくれた。
「おまえ、どこ見てんだよ」
今度は兄が私と流斗さんの間に割って入る。
兄が流斗さんをぐっと睨みつけ、また一触即発の空気になる。
そんなことはおかまいなしとばかりに、流斗さんはにこりと笑った。
「まあそんな感じで、僕の提案に唯さんが承諾してくれたというわけ。
いいよね? 咲夜だって彼女がいるんだから。
まさか、唯さんだけはダメだなんて言わないよね?」
流斗さんの笑顔は、どこかプレッシャーを感じさせるものだった。
「なっ! ……まあ、流斗なら……俺も、安心だよ……うん」
兄は目をそらしながら、小さな声で、しぶしぶといったふうに答えた。