【書籍化】幼馴染のエリート外交官にカラダから堕とされそうです
『楓のことは……妹だなんて、思っていない。それどころか……正直、今の関係が足枷になっていて、苦しいんだよ』


 そう。妹であることも彼の足枷になっていた。彼にとって大切な女性になることも、幼馴染でいることも許されないのだ。優しい奏君は、寄ってくる私を拒めなかった。
 だから 私は、思い続けること諦めたのだ。


『楓。俺と一緒に、フランスへ――』
『ごめん――私は奏君とは行かない。もう大丈夫だから心配しないで。――……もう私に構わず、自分のために時間を使って……幸せになってね』


 さんざんお世話になったのに、ひどいことをしたと思う。
 それでも、私は……差し伸べられた彼の手を拒むことしかできなかった。

 
 
 ◇◇◇


「本当に、久々だな」


 奏君は近くに駐車してあった柊兄の大きなSUV車に私を乗せると微笑む。車はフランスの自宅にあるらしく、柊兄から借りたようだ。
 会わない間に大人の男性の魅力の増した彼は最後に会ったときの何倍もカッコいい。私は笑顔で平常を装った。


「迎え、来てくれてありがとう。柊兄がいきなりごめんね」


< 19 / 47 >

この作品をシェア

pagetop