【書籍化】幼馴染のエリート外交官にカラダから堕とされそうです
 七年前の、確かに私は彼を拒んだが、その後一切私たちは会うことも連絡を取り合うことも無かった。取ろうと思えば取ることだって出来たのに。
 それがやはり奏君の本音で、私のしたことは間違えていなかったと思ったのだが……


「はは、もしかして、またうちでご飯食べようとしてる?」


 きっと、本気なわけがないよね?


「楓の作る料理、うまいからな。まあ、おばさんのには敵わないが」


 ……どういう訳か、本気のようだ。動揺しそうになったが、どうにか堪えた。


「そう言いながら何回もおかわりするくせに……」


 私が口を尖らせて見せると、奏君は昔みたいに人懐っこい顔でケラケラと笑った。
 
 海外をあちこち訪れていた母の作る料理は、様々な国の味を嗜んできただけあって、お世辞を抜きにしてとても美味しかった。亡くなってからは私が料理を担当しているが、やはり母の味に敵うことはない。奏君は何度か私の料理を食べて今みたいなやり取りをしたあとに、結局は「嘘。嘘。世界一うまいよ」と甘やかすような揶揄うような、そんなやり取りが定例化していたっけ。
 そう……奏君は、本当に優しいのだ。


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