【書籍化】幼馴染のエリート外交官にカラダから堕とされそうです
 思い出すのが辛くてうまく言葉を紡げない。それでも勘のいい彼は、これが破局した理由であることを察してくれただろう。彼の眉間が苦しそうに寄っている。


「奏君の提案は、ありがたいけれど……結婚したら、やっぱりそういうこともするだろうし……気持ちはとても嬉しいけれど、それ以上に、嫌われたら嫌だなって思っちゃった……」


 七年前、彼を拒んだのはこれ以上彼の負担になりたくない気持ちと、嫌われて突き放されることが恐ろしくなったからだ。奏君に浩太と同じような形で突き放されたら、私は今度こそ立ち直れないだろう。口にしているうちに涙が滲みそうになる。


「はぁ~~……!」


 だけど、理由を聞くやいなや、奏君は大きく息を吐きながら両手で頭を抱えて顔を伏せた。
 

「ど、どうしたの?」


 いきなりの不審な行動に、ビックリして奏君を見つめる。


「君のそれは無自覚か……? だとしたら本当にたちが悪い」
「へ?」


 ――いったい何のことを言っているのだろう?

 首を傾げたたが、奏君は「いや、なんでもない」と言い、また大きく息を吐いたあと、気を取り直したように話を戻した。


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