【書籍化】幼馴染のエリート外交官にカラダから堕とされそうです
 変わらない優しさと包容力の嵐に、胸の奥が熱くなる。
 彼は昔から変わらない。勘違いしてしまいそうなほど甘く魅惑的な言葉で私を翻弄するのに、肝心な心の内は見せてくれない。七年前に彼の本心を聞いてしまったはずなのに、また凝りもせずにその沼の中に引き込まれてそうになる。

 そして、あまりにも熱心に言い聞かされるものだから、想像してしまった。
 いつも私の頭を優しく撫でてくれる奏君の骨ばった大きな手が、私の全身に触れて……心と体を翻弄していく様を。
 お腹の奥が熱くなる。

 ――やだ、これ……

 初めての感覚に戸惑って、きゅぅ……っ膝を擦り合わせていると、奏君が緩く口角を上げた。


「――楓、試してみないか?」


 長く骨ばった指が私の顎先に触れ、猫の機嫌を取るように掬い上げる。


「試す……?」
「俺と体を重ねて気持ちいいと思えたら、俺と結婚しよう」

 あからさまに説明され、全身が沸騰するように熱くなった。

 ――なっ…………!

 うまく声を発することが出来なかった。ぶっ飛び過ぎた提案に、卒倒してしまいそうだ。
 奏君はそんな私を見つめながら続ける。


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