【書籍化】幼馴染のエリート外交官にカラダから堕とされそうです
 私が真っ赤な顔で頷くと、奏君は車のギアを入れ替え、彼の都内の住まいへ場所を移した。

 


 ◇◇◇
 



「楓……」


 十五分ほどで元麻布にある奏君のマンションに到着し、奏君はまっすぐ寝室に向かい、大きなベッドに私をそっと導いた。
 数日前に鍵をもらったと言うホテルのスイートルームみたいな部屋は、段ボールが積み重なり生活に必要最低限のものしか出ていない。そんな空間で体を重ねることに気おくれしたが、奏君が私の名前を呼びながら覆いかぶさりキスを始めると、そんな考えは遠のいていった。


「そう、くん……」


 彼の優しい香りと温もりが触れるだけで、不思議と強張っていた身体から力が抜けるのを感じた。


「何も考えなくていい。俺から目を逸らさずに、俺だけを感じていろ」


 奏君は私を見下ろすように膝立ちで跨がり、薄暗い部屋の中でネクタイを解いてスーツの上着とベストをバサリと床に投げ捨てた。シャツのボタンを緩めながら再び口づけをし、僅かにあった不安さえも舌で絡め取っていく。
 深まるキスと共に、お腹の奥が熱くなるような心地を覚えた。

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