【書籍化】幼馴染のエリート外交官にカラダから堕とされそうです
 ――やっぱり、いつもと違う……キスが、気持ちいい。

 私をこのまま食べてしまいそうなほど甘くて体中が温度を上げていくのが分かる。
 受け入れる私を、奏君は何度も抱きしめ、優しい口づけで安心させてくれた。彼は決して急がず、不安を見抜くたびに「大丈夫だ」と耳元で囁いてくれる。
 その声に縋るうちに、次第に自分の体がみるみるうちに、蕩けて行くのをしっかりと感じていた。


「もう、これだけで分かるだろう? 楓はちゃんと〝悦くなれる〟体だ。相手が自己本位だっただけで、楓には何の落ち度もない」
「そう、くん……」


 思わずうるっと、目元が熱くなる。
 浩太との経験しかないが、今まで痛くて苦痛で早く終わって欲しいと願うばかりだった。

 ――だけど、今は、違う……

 温かい手で、唇で、手のひらで。蕩けるような愛撫を執拗に繰り返されている。余裕の無くなって来た私をうっとり見ながら、奏君が胸の引っ掛かりを優しく取り除いてくれた。


「まぁ、相手がバカな男で俺は命拾いしたがな」


 よく聞こえなくて「え?」と首を傾げたが、奏君は「なんでもない」微笑んで私の眼をじっと見つめてくる。


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