【書籍化】幼馴染のエリート外交官にカラダから堕とされそうです
「うん。母さんが、真夏は暑いからうちで一緒に遊んだら? って言ってた。奏一の母さんにも、今度言っておいてくれるって。あ、でも、妹が小さいから邪魔しにくるかもしれないけど、許してやってね。楓は世界一可愛いから」


 自分の妹をそんな風に言う柊は、この頃からシスコン……いや、妹思いの性格だった。
 正直、人見知りで人付き合い得意ではない俺は、妹だけではなく、柊の家族みんなに失礼のないように振舞えるか不安だった。

 だが、木下家に着いた途端、その不安は杞憂だったと思えた。
 
 社交性を人型にしたようなご両親に、その後ろからひょっこり顔を覗かせる小さな幼稚舎の制服を着た女の子。
 ぷっくりした白い頬と、人形みたいな大きくてキラキラした眼。小動物みたいで愛らしいと思った。

 柊が「ただいま~」と言って泣いて嫌がる楓のほっぺたにすり寄って抱きしめてキスをしようとしていたことにはドン引いきだったが、家に帰っても仕事で両親がいない環境で育った俺には、木下家の温かさは羨ましく、とても居心地がよかった。




 ――それからというものの、柊とご両親の提案で、俺は木下家で過ごす時間が増えた。

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