【書籍化】幼馴染のエリート外交官にカラダから堕とされそうです
 そんなの楓に決まっている。悪びれることなく『楓一番』を断言する俺に、呆れて破局するのはパターン化していた。

 妹を大切にするのは当たり前だし、楓は誰よりも可愛く優しい。なにより一緒にいると楽しい。心が安らげるのだ。
 
 とはいえ、彼女の前でこんなカッコ悪いことが起きているなんて言えるわけがない。
 
 俺は、表面では恋愛をしながらも、本当に恋情というものをまだ知らなかったのだ。
 
 ……だが、このとき、ふと思った。もし仮に、楓に本当に彼氏ができてしまったら……?
 
 そう自身に問いかけると、急に背筋が凍りついた。
 
 俺ではない他の誰かが楓を自分のモノにして、彼女と過ごし、彼女に触れ、彼女と濃蜜な関係を築き上げていく。
 
 そう思ったら、気が狂いそうになほど居ても立ってもいられない気持ちになった。無性に気が立って、狂おうしいほどに気が急いているのが分かる。
 
 おそらく、柊が彼女へ抱く気持ちとは違う。

 ――この感情は。俺は、もしかすると……


「そうだよね。奏君カッコいいもんね、またすぐに彼女とか出来ちゃいそう! ……あ、お茶持って来るね」


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