【書籍化】幼馴染のエリート外交官にカラダから堕とされそうです
 とても優しくて頼れる柊兄だが、昔から妹の私を最優先にして猫可愛がりしてくる……ちょっとシスコン気味なところのある変わり者でもある。ぶっちゃけ私は、自分の怒り狂った気持ちよりも、柊兄に知られる方が心配だった。


「でも傷ついたのは楓ちゃんだろう? 確かに姉さんたちがいなくなってから、柊君は保護者のようなもんだけど、こんな話聞いたら楓ちゃんの心配をすると思うよ?」


 ……都さんは本当に優しい。


「それが問題なの……」
「ん?」
「ううん、なんでもないよ」


 お客様が呼んでるよ、と話をそらし叔母さんをそちらに促す。
 小走りで客席に駆けつける彼女の背中を見送りながら、大きなため息を飲み込んだ。

 ――都さんは絶対に気を遣うだろうし……言えない。

 私たちの両親は、国際協力機関に所属し、国際的な社会活動を援助する仕事をしていた。柊兄が生まれてからは国内での勤務が多くなったらしいが、それでも出張は頻繁で、このお店に預けられることも木下家に来てもらう事も少なくなかった。
 
 両親が亡くなったのは、その活動の最中の事故だった。
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