【書籍化】幼馴染のエリート外交官にカラダから堕とされそうです
 両親を失った当時、私も慈善活動に熱心だった両親の影響で、外交に携わる仕事に就くことを夢見ていて、官僚の登竜門として知られる難関国立大学に在学していた。
 
 そこで……両親を失った悲しみと共に直面したのは、学費の問題だった。
 
 医師免許を習得して一年ほどだった柊兄が「楓は心配せず勉強しろ」と学費を工面してくれたが、新米の医師が安易にできることではない。国立とはいえ様々な制度を利用したところで、負担は大きいものだ。結局は、そう言った状況への心苦しさや、両親の死後勉強に身が入らずと言った理由で、私は大学を中退してしまった。だが、未だに柊兄への感謝の思いは尽きない。
 
 さらに言えば、現在は、語学力を生かし大手商社・竹本商事に務めているが、それも柊兄の友人の伝手での就職だった。いつだって柊兄は、私を一番に考えて、自分を犠牲にして寄り添ってきてくれた。
 
 なのに、このままでは――大好きな兄に、また我慢を強いてしまうことになる。
 
 こういうとき、()がいたら、聞いてくれるのだろうか……
 
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