行き倒れ騎士を助けた伯爵令嬢は婚約者と未来の夫に挟まれる
21危機的状況
「は、ぁっ」
俯きながら息を切らすアリシアに、フレンは驚愕しメリッサを見る。だが、メリッサはフレデリックをわざとアリシアから引き離すようにホールの中心部へ連れていた。フレデリックがふとアリシアとフレンの方を見て目を見開く。フレデリックとフレンは視線でお互いに何かを伝え合おうとしたが、メリッサがその視界に入り遮断された。
チッと舌打ちをしてフレンはアリシアを見る。
「おい、アリシア、大丈夫か」
「う、体が、熱くて」
アリシアの言葉にフレンは嫌な予感しかしない。
「アリシア、とにかく安静になれる場所へ移動しよう」
そう言ってそっとアリシアの背中に手を回すが、フレンが触れた瞬間、アリシアの体がビクッと震える。そしてアリシアが苦しそうに訴える。
「だい、じょうぶですから、さ、わらないで……」
「わ、わかった」
◇
フレンが近くにいたメイドへ、主人が具合が悪いので休ませてほしいと伝えると、屋敷内にある部屋へ通される。部屋に入るとすぐにアリシアはベッドへ倒れこんだ。
「はあっ、はあっ」
アリシアの顔は赤く、息も荒い。うっすらと汗もにじみ出ていてどう見ても煽情的だ。
(一体どういうことだ。まさかメリッサの奴……)
アリシアが体調不良を訴えたのは、メリッサが持ってきた飲み物を口にしてからだ。赤らんだ顔、荒い呼吸、高い体温。どれもこれもがフレンの嫌な予想にぴったりと当てはまってしまう。
「アリシア、とにかく水を飲め、熱いんだろう」
フレンはベッドサイドにあった水差しからコップに水を汲むと、アリシアへ渡す。アリシアは一気にそれを飲み干したが、急いだせいで口の端から水が少し流れ落ちる。少し緩んだ口元から首筋を通り、アリシアの胸元へ垂れていく水があまりにも欲をそそる光景で、思わずフレンは視線をそらした。
(くそっ、どうすればいい?とにかく、ここの部屋に誰もこないようメイドに見張らせて、フレデリックを呼びに行くしかないか)
「アリシア、辛いかもしれないが少しだけ待っててくれ。今フレデリックを呼んでくる」
アリシアへそう伝え、アリシアから離れようとすると、グイっと袖を引っ張られる。
「アリシア?」
「フレン、様……いかないで、くる、しい、苦しいの……助けて」
アリシアは瞳を潤ませ、はあはあと吐息を漏らしながら賢明に訴えてくる。その姿はあまりにも色っぽく、フレンの理性が吹っ飛びそうになるほどだ。
俯きながら息を切らすアリシアに、フレンは驚愕しメリッサを見る。だが、メリッサはフレデリックをわざとアリシアから引き離すようにホールの中心部へ連れていた。フレデリックがふとアリシアとフレンの方を見て目を見開く。フレデリックとフレンは視線でお互いに何かを伝え合おうとしたが、メリッサがその視界に入り遮断された。
チッと舌打ちをしてフレンはアリシアを見る。
「おい、アリシア、大丈夫か」
「う、体が、熱くて」
アリシアの言葉にフレンは嫌な予感しかしない。
「アリシア、とにかく安静になれる場所へ移動しよう」
そう言ってそっとアリシアの背中に手を回すが、フレンが触れた瞬間、アリシアの体がビクッと震える。そしてアリシアが苦しそうに訴える。
「だい、じょうぶですから、さ、わらないで……」
「わ、わかった」
◇
フレンが近くにいたメイドへ、主人が具合が悪いので休ませてほしいと伝えると、屋敷内にある部屋へ通される。部屋に入るとすぐにアリシアはベッドへ倒れこんだ。
「はあっ、はあっ」
アリシアの顔は赤く、息も荒い。うっすらと汗もにじみ出ていてどう見ても煽情的だ。
(一体どういうことだ。まさかメリッサの奴……)
アリシアが体調不良を訴えたのは、メリッサが持ってきた飲み物を口にしてからだ。赤らんだ顔、荒い呼吸、高い体温。どれもこれもがフレンの嫌な予想にぴったりと当てはまってしまう。
「アリシア、とにかく水を飲め、熱いんだろう」
フレンはベッドサイドにあった水差しからコップに水を汲むと、アリシアへ渡す。アリシアは一気にそれを飲み干したが、急いだせいで口の端から水が少し流れ落ちる。少し緩んだ口元から首筋を通り、アリシアの胸元へ垂れていく水があまりにも欲をそそる光景で、思わずフレンは視線をそらした。
(くそっ、どうすればいい?とにかく、ここの部屋に誰もこないようメイドに見張らせて、フレデリックを呼びに行くしかないか)
「アリシア、辛いかもしれないが少しだけ待っててくれ。今フレデリックを呼んでくる」
アリシアへそう伝え、アリシアから離れようとすると、グイっと袖を引っ張られる。
「アリシア?」
「フレン、様……いかないで、くる、しい、苦しいの……助けて」
アリシアは瞳を潤ませ、はあはあと吐息を漏らしながら賢明に訴えてくる。その姿はあまりにも色っぽく、フレンの理性が吹っ飛びそうになるほどだ。