明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
しかも女将さんは、もう一度わざとらしく咳払いをした。
ええっと……女将さん、まさか本気で?
案の定、桐島中尉がこちらを振り向いた。
鋭い眼差しが一瞬で和らぎ、柔らかな笑みに変わる。
「ああ、雪乃さん。」
心臓が跳ね上がり、逃げ場を失う。
こうなったら、挨拶するしかない。
「……お久しぶりです。」
すると桐島中尉は、ためらいもなく私の隣に腰を下ろした。
「この前は、お会いできなくてすみませんでした。」
「えっ……」
思わず間の抜けた声が漏れる。
「女将さんから伺いましたよ。しばらく待ってくださったとか。」
私は慌てて女将さんを見た。
けれど、女将さんは帳場の方で知らぬ顔をしている。
……まったく。わざとに決まっているのに。
頬がますます熱くなる。
恥ずかしさでいっぱいなのに、同時に胸の奥がじんわりと温かくなっていく。
――この人は、ちゃんと覚えていてくれた。
ええっと……女将さん、まさか本気で?
案の定、桐島中尉がこちらを振り向いた。
鋭い眼差しが一瞬で和らぎ、柔らかな笑みに変わる。
「ああ、雪乃さん。」
心臓が跳ね上がり、逃げ場を失う。
こうなったら、挨拶するしかない。
「……お久しぶりです。」
すると桐島中尉は、ためらいもなく私の隣に腰を下ろした。
「この前は、お会いできなくてすみませんでした。」
「えっ……」
思わず間の抜けた声が漏れる。
「女将さんから伺いましたよ。しばらく待ってくださったとか。」
私は慌てて女将さんを見た。
けれど、女将さんは帳場の方で知らぬ顔をしている。
……まったく。わざとに決まっているのに。
頬がますます熱くなる。
恥ずかしさでいっぱいなのに、同時に胸の奥がじんわりと温かくなっていく。
――この人は、ちゃんと覚えていてくれた。